金継ぎ クロフ舎 第1回 道具の話

2016.08.07

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大切な器が割れたりカケたり、ヒビがはいってしまったけれど、諦めたくない。そんな時は金継ぎ師さんにお願いしてお直しすることができます。漆を使って割れを接着し、カケやヒビのある部分を埋め、金や銀、スズ、漆などで仕上げていく。それが金継ぎの技。静かに丁寧に、そして時間をかけて行われる作業の工程を取材しました。

お話を伺ったのは「金継ぎ クロフ舎」さん。第1回目は道具についてのお話です。

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上段左から/筆やヘラなど、漆と道具箱、菜種油、サンドベーパー、手袋
下段左から銀粉、金粉、定盤(作業板)、砥石、

出張用ということで持ってきていただいたのは、ほんの一部ですが、どれも時間をかけて探し揃えた道具たち。人に尋ねたり、思いもよらない場所で偶然見つけたり、ときには「あれ見つけたよ」と知人から連絡をもらって出合ったものも。道具集めは「まるでゲームのRPGのようでたのしい」のだそうです。

ひとつひとつ丁寧に集めた道具は、どれも手入れがいきとどいているのが伝わります。

kin03kin05左:筆は使ったらすぐ菜種油で洗う。右:金粉を開いたところ。毛棒でポンポンと蒔いて使います。

kin19kin24左:固定するのに使うマスキングテープ。右:クロフ舎さんが自分で絵を描いた道具箱。

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おもしろいなぁと思ったのが、この「鯛牙(たいき)」という道具。仕上げの際に金を磨く道具ですが、棒の先についているのは本物の鯛の牙で、硬さがちょうど良いそうです。しかもこの鯛牙、何ヶ月も魚屋さんなどでちょうどいいサイズの鯛の牙を探し、知り合いの板前さんにお願いして協力してもらい、ようやく手に入ったものを、クロフ舎さんの師匠が道具に仕立ててくれた、オリジナルだそう!

ということで今回は、金継ぎ クロフ舎さんの道具を紹介しました。これからは仕上げの種類、金継ぎの工程、仕上がった器などを順にお伝えしていく予定です。ぜひたのしみにしていてくださいね。

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金継ぎ クロフ舎黒沢利絵
雑誌の編集・ライターをしながら、漆芸家・柴田克哉氏に師事し、金継ぎ・漆器の修理を学ぶ。2015年にクロフ舎をスタート。現在は塗りもののお直しの修行中。

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店主松永千晶
threetoneを切り盛りする店主です。全国に足を運んで暮らしの器をセレクトしています。撮影はいつも自宅の窓際で。

つかったもの

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